火災保険をどこの保険会社にするか、補償内容をどうするかという検討をされている方、「地震保険はどうしよう」と悩まれていませんか。
ニュースでも頻繁に地震速報を目にすることがあるかと思いますが、実際に日本全国で震度3以上の地震が1年間で200回以上発生していると言われています。
地震大国といわれる日本だからこそ万一の備えとして地震保険に加入しておいたほうがいいんじゃないかと不安になりますよね。
実際に、地震保険の加入率を示す、2023年に契約された火災保険(住宅物件)のうち、地震保険を付帯している件数の割合は69.7%となっています。
2023年に火災保険を契約した人の約7割が地震保険に加入していることになりますので、新築住宅を建てた多くの人が地震保険に加入しているということになります。
一方で、ネットで検索すると「地震保険 必要ない いらない」といったページが表示されることがあります。
「住宅ローンの支払いも始まるし、できるだけ出費は抑えたい」、「でも日本は地震が多いし、地震保険に入っていないと後悔しそう」……
調べれば調べるほど、どちらにすべきか悩んでしまいますよね。
- 新築を建てたけど、地震保険って本当に必要なの?
- 家族の安全は守りたいけど、保険料はなるべく抑えたい…
- 「いざという時に役に立たない」って本当?
結論から言うと、地震保険は「誰にでも必要」というわけではありませんし、私見としては地震保険は必要ないと考えています。
この記事では、
- 地震保険がいらないと言われる理由
- FPとしてのリアルな見解
- 加入を検討してもいいのかなと言えるケース
- そして、我が家が実際に使ってよかった火災保険一括見積もりサイト
まで、わかりやすくお伝えします。
保険料で年間3万円以上の差が出ることもあるので、
「今すぐ入らないと損するかも…」と焦る前に、ぜひ読んでみてください。
地震保険は“いらない”と考える理由

地震大国である日本で地震保険がいらないと言われる理由はどこにあるのでしょうか。
私は、「確率は低いが損失額が大きい」とされるものに対しては保険で備えたほうがいいと考えています。
地震によって家屋が倒壊したり住めない状態になった場合は、「確率低、損失大」に合致するので、保険に加入するのは決して悪い選択ではないと思います。
それでも私が地震保険に加入しなかった理由は以下の通りです。
地震保険は「家を建て直すための保険」ではない
地震保険は「家を建て直すための保険」ではなく、生活を再建するまでの「当面の生活費としての保険」です。
つまり、万が一新築の家が地震で倒壊し住めない状態になっても、地震保険の保険金では同じ家を建て直すことができません。
つまり、地震保険の加入を検討する場合は、
「地震で家に住めなくなった場合に、家の再建・補修のための保険」ではなく、「当面の生活費の保険」のために地震保険の保険料を支払い続ける必要があるのか判断する必要があります。
この前提を誤解して加入すると、万が一の時に予想よりも補償が少なく、後悔につながりかねません。
保険金は想像以上に少ない
地震保険の目的が「当面の生活費の保険」ということもあり、万一の時の補償額が十分でないときがあります。
例えば建物価格が5000万円の家を建てて火災保険と地震保険に加入した場合、
・火災保険の場合は、
「同じ家を建て直す際にかかる価格」が基準になります。(新価基準、再調達価額)
・地震保険の場合は、
まず、5000万円の家に経年劣化率をかけます。
「新築のときは5000万円だったけど、5年経っているからは4000万円の価値になっていますよね」という感じです。(時価)
さらに、経年劣化率をかけた4000万円が算定基準になるのではなく、地震保険は火災保険の最大30%〜50%までしか補償されないという決まりがあるため、5000万円の家だと、50%で2500万円が最大の補償額になります。
つまり、仮に時価が4000万円であっても、受け取れる保険金の上限は2500万円になってしまうのです。
建物の損害の程度の判定が厳しく、保険金が上限まで支払われにくい
地震により建物にどのくらいの損害があったか判定され、その程度により5%~100まで支払われる保険金が上下するのですが、この判定が意外と厳しいものになっています。
損害の程度 | 建物の損害状況 | 支払われる保険金 |
---|---|---|
全損 | ・土台、柱、壁、屋根等の損害額が、時価額の50%以上となった場合 または ・焼失もしくは流失した部分の床面積が、その建物の延床面積の70%以上となった場合 | 保険金額の100% |
大半損 | ・土台、柱、壁、屋根等の損害額が、時価額の40%以上50%未満となった場合 または ・焼失もしくは流失した部分の床面積が、その建物の延床面積の50%以上70%未満となった場合 | 保険金額の60% |
小半損 | ・土台、柱、壁、屋根等の損害額が、時価額の20%以上40%未満となった場合 または ・焼失もしくは流失した部分の床面積が、その建物の延床面積の20%以上50%未満となった場合 | 保険金額の30% |
一部損 | ・土台、柱、壁、屋根等の損害額が、時価額の3%以上20%未満となった場合 または ・建物が床上浸水もしくは地盤面より45cmをこえる浸水を受け、建物の損害が全損・大半損・小半損・一部損に至らない場合 | 保険金額の5% |
令和6年の能登半島地震においても、全壊4.1%、半壊15.0%、一部破損80.9%となっており、大規模な地震であっても、多くの人が「満額の保険金が支払われない」状況になっています。
建物価格が5000万円の家を建てて火災保険と地震保険に加入した場合を例にすると、一部損の場合、125万円の保険金額しか支払われないことになってしまいます。
住宅の耐震性能が上がっている
最近の家屋は耐震性能が上がっており、ローコストハウスメーカーであるタマホームも耐震等級3を標準仕様としています。
耐震等級3を満たした家は震度6強~7の地震でも、軽い補修で住み続けられ、消防署や警察署といった災害復興の拠点となる防災施設レベルの耐震性を備えているとされています。
耐震等級2でも震度6強~7の地震でも、一定の補修で住み続けられる、学校や避難所といった公共建築物レベルの耐震性を有していますので、多くの建築会社がこの耐震等級2~3を満たした家を標準仕様にしています。
このように新築住宅の耐震性能が上がっていることから、大規模な地震が起こっても全損~半損の被害を受ける可能性が低くなっており、支払われる保険金額も満額の保険金が支払われるケースも減っています。
地震保険は火災保険に加入したうえでのみ加入できる保険です。そのため、保険料も火災保険の保険料プラス地震保険の保険料を支払う必要があります。
更に地震保険は月払いが出来ず、1年~5年の一括払いのみとなっています。
地震保険の保険料については、建物の所在地や構造によって異なります。都心部の戸建てで非耐震構造の場合は、年間26,720円です。
年間3万円弱の保険料と地震が起こるリスク、地震によりどのくらいの損害を受け、どのくらいの保険金が補償されるのかを検討して、私は地震保険は不要だなと判断しました。
地震保険料控除による節税効果はわずか数千円
地震保険は、支払った地震保険部分の保険料に応じて、年末調整や確定申告をすることで、一定の金額の所得控除を受けられるのですが、この所得控除による節税額は意外と大きくありません。
地震保険料控除は、所得税と住民税の両方に適用されます。
支払った地震保険料が5万円以下の場合、
- 所得税の控除額はその全額が、
- 住民税の控除額はその1/2が、
控除されます。
例えば3万円の地震保険料を支払った場合は、所得税控除額は3万円、住民税控除額は1万5000円になります。

これだけ見ると、税金が4万5000円も安くなるのかと勘違いしがちですが、そうではありません。
生命保険料の控除でも同じように勘違いされがちなのですが、控除額分がそのまま税金から控除されるわけではないことに注意が必要です。
では、いったいどのくらいの節税効果があるのか、下記の例をもとに計算してみましょう。
控除=得ではない?節税の落とし穴
- 年間の支払い保険料:3万円
- 契約期間1年
- 所得金額500万円
1年間に地震保険料として、例えば3万円支払ったと仮定すると、5万円以下のため、
- 所得税は全額の3万円
- 住民税は1/2の1万5000円が控除されます。
ここまでは毎年の年末調整で行う計算ですが、実際の税額控除額を求めるためにはさらに計算式を当てはめる必要があります。
まず所得税の場合、所得金額が500万円だとすると、税率は20%なので、
所得税控除額:3万円× 所得税率20% = 6,000円
次に住民税は、税率は10%になりますので、
住民税控除額:1万5000円× 10% = 1,500円
合計した7,500円が地震保険料控除による実際の税金軽減額になります。(※あくまで例としてのシミュレーションですので、個人の所得やその他の控除などの条件により、計算結果が異なる場合があります)
3万円の保険料を払って、7,500円の節税効果……
「保険料控除=お得」と思われがちですが、実際に安くなるのは数千円。
保険金も少ないのに、控除目的で加入するのは本末転倒です。
補償の条件が厳しくて保険金もあまり出ないのに、保険料3万円-節税額7,500円では、正直割に合わないと私は感じました。
地震保険以外での「備え方」

上記の理由から、支払う保険料と補償を検討した結果、私は地震保険に加入しない選択をしました。
それでは、地震保険以外でどうやって万一の場合に備えたらよいのでしょうか。
ハザードマップ等を確認して災害リスクを最小限に
まず第一に、地震に限らず災害リスクが低い場所を確認し、「被災する確率そのものを減らす」という対策を取りましょう。
住む場所によって、想定される災害の種類と被災確率は大きく変わります。
そのため、土地を探す際に必ずハザードマップをしっかりと確認することが重要です。
ハザードマップは、その土地の自治体が公開していますので、ホームページで確認するようにしてください。
- 海や川から離れる
- 山の斜面から離れる
- 台風がよく通る道を避ける
海や山の斜面から離れることで、地震による津波や地滑りによる被災の可能性を遠ざけることが出来ます。
ほかにも地震による揺れに強い地盤かどうかを示す地盤分類図などを公開し、災害リスクを可視化した資料を公開している自治体もありますので、チェックしておくと災害から家や資産、そして何より自分や家族の命を守ることができます。
耐震性の高い家を建てる
上でも紹介したように、タマホームの主力商品である「大安心の家」は、震度6強~7の地震でも、軽い補修で住み続けられるレベルの耐震性を備えているとされる、「耐震等級3」の基準を満たしています。
このように、現在は多くの建築会社が地震や災害に強い家を強みとして販売しています。
私がおすすめしている地域密着型の工務店も、災害に強い家を強みにしている工務店が数多くありますので、理想の家づくりを叶えてくれる工務店を選ぶ際の項目の一つとして検討しましょう。
預金こそ最強の“保険”
地震保険は前述の通り、地震の被害にあったときに、生活を再建するまでの「当面の生活費としての保険」です。
その一方で、保険金を受け取るためには、損害の程度の査定を受けたり保険の申請のために一定の日数が必要になります。
被害にあって生活費としてすぐに必要なのに、すぐに受け取ることが出来ず、家の補修のために必要とする場合は額が少ないというどちらも中途半端な保険になりがちです。
当面の生活費としてお金を準備しておくのであれば、やはり預金としてお金を積み立てておくことが重要です。
預金として積み立てておけば、地震以外の場合にも臨機応変に対応することができますし、結果的に何もなかった場合でも、預金ですのでお金が減るということはありません。
地震のよる被災にかかわらず、何かあったときのための生活防衛費は用意しておきましょう。
加入を検討してもいいケースとは?
家づくりでお金のことをあまり知らなかったことを後悔し、ファイナンシャルプランナーの資格をとった私としては、地震による損害に対しては地震保険ではなく預金の積み立てや、公的な支援制度の活用をおすすめします。
私がこういう人だったら地震保険を検討してもいいのかなと思えるケースは以下の場合です。
ただ、何度も言うように地震保険は家を再建する保険ではなく、当面の生活費支援の位置づけであるため、生活費に心配のない人はそもそも地震保険に加入する必要が薄いという事は注意が必要です。
耐震性に不安がある新築住宅
地震保険は、前述のとおり家を建てたときの価値ではなく、今現在の価値をもとに保険料が算定される仕組みになっています。
そのため、築年数がたった古い家ほど支払われる保険料が少なくなっていきます。
地震保険は古い家よりも新築住宅のほうが入るメリットが大きい保険になっています。
ただし、最近の家は耐震性能が格段に上がっているため、地震によって大きな損害を受ける心配が少なくなっており、損害の程度によって保険料が変動する地震保険に入るメリットが小さくなってしまいます。
例えば耐震性能よりもデザインにこだわった家などを新築で建てた人などは、地震保険を検討してもいいのかなと思います。
リスクの高いエリアに住む人
ハザードマップなどでお住まいの地域や、家を建てようと考えている土地を確認し、
- 地震が多発していたり、将来大地震が発生するリスクが高いとされる地域や、
- 地震が起こった際に大きな被害を受けやすいとされる地域
に該当する場合は、地震保険を備えの一つとしてもいいかもしれません。
結論:貯蓄で地震によるリスクに備え、火災保険で災害リスクをカバー

地震大国である日本において、いつか大地震が来るんじゃないかという不安はだれもがあると思います。
でも、「なんとなく不安だから」と保険料を払い続けるのではなく、地震のリスクに合理的に備えることが大切です。
- 地震保険は家の再建費用ではなく、当面の生活費を支援する保険という位置づけ
- 保険料の算定が家を建てたときの価値ではなく、現在の価値をもとに算定される
- 地震による家への被害によって保険料が変わり、一部損だと5%しか保険金額が支払われない(能登半島地震でも8割が一部損判定)
- 地震保険料控除による節税効果も限定的
地震リスクには、
- 生活防衛費としての預金
- 耐震性の高い家を被災しにくい立地に建てる
という“地震保険より信頼できる備え方”があります。

検討の結果、私は火災保険だけを見直し、地震保険は外しました。
火災保険については、住宅ローンの借り入れ条件の中にありますし、地震保険と違い、火災以外にもいろいろなパターンによる被災をカバーしてくれるので加入をおすすめします。
ただ、加入する際は建築会社の営業マンや保険の営業マンの勧めに流されるままに加入せず、自分で3社以上から見積もりを取って比較しましょう!
- 火災保険は補償内容が同じでも保険会社によってで数万円の差が出る
- 注文住宅こそ、補償内容を自分で選ぶべき
- 忙しい方でも3分で比較できる一括見積サイトが便利
私は「インズウェブ」の一括見積で、保険料が年間2万円安くなりました。たった3分で最大15社を比較できるので、忙しい人にもおすすめです!
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新築住宅を建てると住宅ローンを返済する長い道のりが始まります。
そのうえ、必要以上に保険料を支払うのは毎月の家計を圧迫しますし、せっかくマイホームを手に入れても節約ばかりの毎日では楽しくないですよね。
地震保険は「必須」ではありません。
地震保険に限らず、保険は目的や補償額をよく理解し、自分の状況に合わせて選ぶことが大切です。
自分に必要な条件を検討し、できるだけ支払う保険料を抑えて、家族の安心と家計のバランスを両立させましょう!
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